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晴れのち曇り、所により暴風雨 北岳花三昧 2015/7/22~7/23
ミヤマハナシノブ/ハナシノブ科

北岳に出かけたらどうしても見ておきたい花がミヤマハナシノブ。
他の山ではほとんど見られない貴重な高山植物だ。
ところが北岳に登る登山者の中でミヤマハナシノブに関心を示す人は極めて少ない。
花に興味のない人ならどんな花でも同じだろうが、知っていればもっとワクワク感が生まれるのではと思うが
余計なお世話かもしれない。
とにかく北岳にはミヤマハナシノブが多い。
大樺沢二股周辺では一番よく咲いている花がミヤマハナシノブだ。
タカネグンナイフウロやハクサンフウロやイブキトラノオよりも多く咲いている。
花はしなやかでとてもデリケートなので傷むのも早い。
いくらでも咲いているのに初々しくて綺麗な花を探すとなるとなかなか見つからない。
それだけに綺麗な花に出会った時の喜びは大きい。
この日はカンカン照りの中での撮影だったのでなかなか難しい条件が重なった。
影ができるとミヤマハナシノブの優しさやしなやかさが消えてしまう。
天気がいいのは嬉しいが花の撮影にはもう少し曇ってほしいと勝手なことも思ってしまう。
それでも晴れた日には晴れた日の花の情景というものが必ずある。
青空をバックに撮影できるのは晴れた日ならではである。
そんなことで意識的に青空を入れながらの撮影が多くなった。

撮影シリーズ風にコメントを入れてみたいと思います。


2015/07/22 NikonD810 NIKKOR 16-35㎜ F4
二股より少し上で撮影したもの。
これから咲き出す蕾も多く、まだまだ1ヶ月近くは楽しめるはず。
昨年は9月13日でも綺麗な花が見られた。


撮影は咲いている環境を見せるのも一つのテクニック。
必ずしもはっきり見せる必要はなく、なんとなく想像できればそれだけでもいい。
この場合は山の斜面に咲き、背景に雪渓があることを見せようと意図している。
でも白い部分が雪渓に見えない人もいるかもしれない。でもそれでも構わない。
やっぱり青空が効いている。



2015/07/12 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8
さてここからの3枚は同じ被写体を撮り方を変えてみたもの。
撮り方によって印象が随分変わることに気づいていただければと思う。
最初のこの一枚は一番オーソゾックスに撮影したもの。
もちろん青空を入れるという意図が最初にあることは事実だが、最も見た目に近い撮り方となっている。



2015/07/22 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8
これは下から見上げるように撮影して花を青空の中に入れてみたもの。
下から見上げると天に向かって伸びる躍動感が生まれ、花がくっきりと浮き出るので
花の印象も強くなる。
こんな撮り方をすると花の影も気にならなくなり、真夏のギラギラ感も一つの要素となってくる気がしている。



2015/07/22 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8
3枚目は敢えて雪渓を入れてみようと構図を作ってみたもの。
悪くはないが無理やり雪渓を入れているのでどこか不自然な感じもする。
その不自然さは花と雪渓との空間にある。
もう少し右寄りから撮影してこの空間を狭くすると自然な感じがしてくるはずだが、
この場合二つの花にピントを合わせたかったので、必然的にこの構図が決まってしまった。
本当はあまり考えない方がいいのだが・・・



2015/07/22 NikonD810 TAMRON SP90㎜マクロ F2.8
これは最初に見つけたミヤマハナシノブ。
まだ二股より随分手前に咲いていたもの。
必ずしも花の状態がいい訳ではないが、最初に出会った花の印象は強烈に残るもの。
だからそれなりの気構えで花と向き合うことになる。
木陰に咲いていたものなので、風で木の葉が揺れ光が出たり入ったりしていた。
そんなタイミングを計りながら撮影したもの。
いい写真とは言えないが印象に残っている一枚。
野草と向き合うのはこんなスタンスがいいと勝手に思っている。
出会った時の印象が大切で、そこには花と自分という一対一の関係が生まれる。

うまい下手ではなく、そんな思いを大切に撮影できれば、自分にとってはいい写真となるはずだ。



2015/07/22 NikonD810 TAMRON SP90㎜マクロ F2.8
これも同じ場所で撮影したもの。
花は別の個体だが、この日最初のミヤマハナシノブにワクワクしながら撮影した一枚。
こんな風に撮りたいというミヤマハナシノブの理想はあるが、理想通りの場面が巡ってくるのは稀なこと。
むしろ理想とは違う場面の中に新たな魅力が引き出されることも多い。
理想とは自分が勝手に作り上げた概念に過ぎない。
自然と向き合う時は自然体で接することがいいと言うのは、
自分の概念を捨ててあるがままを見てみると、いろんなものが見えてくるから。
そこには自分の枠を超えた大きな自然の営みがあることに気づくはずだ。




2015/07/22 NikonD810 NIKKOR 16-35㎜ F4
最後の2枚は雰囲気重視の写真。
花の状態は決して良くないし、接写をしたくなるような花でもない。
でもよく咲いている。
北岳ならではのロケーションとミヤマハナシノブという希少種の花。
天気は快晴。
そんな場面をミヤマハナシノブにスポットを当てながら撮影してみた。




2015/07/22 NikonD810 NIKKOR 16-35㎜ F4
晴れた日には晴れた日の良さがある。
花の撮影は高曇りの時がベストだと言うのは、接写をして花のディティールを出したい時の話。
高曇りの日では決してこのような写真は撮れない。
青空があるからこそ、夏の表情が撮影できる。
まさに最高の天気と言わなければならない。

ミヤマハナシノブのイメージは、しなやかで優しさがあり気品も感じる山の花。
でもそのイメージも自分の概念が勝手に作り上げたもの。
イメージを持つことは決して悪いことではないが、イメージとは違う側面もあることを知らなければならないし、
そんな側面をいつでも見られる自然な目を養っていたいと思っている。

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