コハコベを撮る 写真 深谷利彦 Toshihiko Fukaya
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コハコベ/ナデシコ科
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撮影地 高浜市 2017/02/17撮影 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8 f5.6 絞り優先モード オート ISO200 露出補正0
コハコベは冬の間から大地にへばりつくようにして葉を展開しています。 少しずつ気温が上昇してくるとさらに茎や葉を横に広げながら少しずつ頭を持ち上げてきます。 そして真っ先に花を咲かせる場所が風の当たらないような陽だまりです。 この写真は私の畑の片隅で後ろにブロックの壁があります。 ブロックが風よけにもなっているので暖かいのでしょう。 斜めから差し込む春の陽ざしを全身で受け止めようとしている姿が見て取れます。 撮影はそんな様子を写してみたいと思って撮りました。 この時注意しているのは、花柱にピントを合わせること。 もちろん花弁にもピントが合っていないときりっとした写真になりません。 そして特徴的な萼片の腺毛もわかるように撮れればさらにいいと思って撮っています。 もう一つのポイントは背景が黒く沈んでいるので白いコハコベの花が引き立ったことでしょうか。 野草の写真では花をどう浮かび上がらせるかということも大きなポイントになります。 それからレンズの選択ですが 私はコハコベくらいの小さな花は50㎜マクロが適していると思っています。 100㎜前後の中望遠マクロでは被写界深度が浅くぼやっとした写真になるので このような撮り方では50㎜マクロを好んで使用しています。 但し横から撮影して背景をぼかしたい時には90㎜マクロの出番もありますので まあ状況に応じて使い分けているということになります。 撮影地 高浜市 2017/02/22撮影 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8 f5.6 絞り優先モード オート ISO200 露出補正0
野草の撮影では何に注目して撮影したか、つまり何を見せたいかということが大切になります。 そしてその見せたいものが伝わる写真にしなければなりません。 まあ独りよがりの写真でも構わないのですが、 できれば自分の思いというか見せたいものが人にも伝わる写真を撮りたいですよね。 この写真はコハコベの蕾に注目して撮影した一枚です。 花も綺麗ですが、これから花を咲かせる蕾の表情も捨てがたいものがあります。 首を垂れて大きく膨らみつつある蕾と今にも花を開こうとしている蕾。 どちらも趣があっていいですね。 撮影にはこの二つの蕾にピントを合わせています。 萼片の腺毛もとても大切な要因です。 もしここに綺麗な花が正面を向いて咲いていたとしたら この蕾の印象は薄れてしまいます。 自分が何に感動して何を見せたいのかわかる写真にしたいですね。 撮影地 高浜市 2017/02/22撮影 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8 f16 絞り優先モード オート ISO200 露出補正-0.3
これはコハコベの群生で花もよく開いています。 この様子を上から狙ってできるだけパンフォーカスに撮影したものです。 そのために絞りをf16まで絞り込みました。 レンズが50㎜マクロですので、これくらい絞らないと奥の花までピントが合ってくれません。 広角レンズで撮影すればここまで縛らなくても深いピントが得られますが、 コハコベの花のディティールや質感が少しぼやけてしまうので あえて50㎜マクロで撮影しています。 絞らずにf5.6くらいで撮影する方法もありますが、なんとなく中途半端で 何を見せたいかわからない写真になることが多く、 群生していて花が満開の様子を見せたい時には絞り込んで撮影することを好んでいます。 これも好き好きですからね。 撮影地 高浜市 2017/02/22撮影 NikonD810 NIKKOR VR16-35㎜ F4 f14 絞り優先モード 焦点距離30㎜ オート ISO200 露出補正0 さて今度は広角レンズの登場です。 広角レンズを使用する時には明確な目的があります。 この場合はキャベツ畑にはびこるコハコベの様子が面白く、 その様子を切り取りたくて広角レンズの出番となりました。 キャベツという大きな被写体とコハコベの小さな被写体との対比の面白さでしょうか。 それから畑にはびこるコハコベらしい生態系が見られるのも面白いと思いました。 こんな場面も絞り込んでくっきり見せるのがいいかなと思っています。 ぼかして想像させるという撮り方もありますが まあケースバイケースとうことです。 撮影地 高浜市 2017/02/22撮影 NikonD810 NIKKOR VR16-35㎜ F4 f14 絞り優先モード 焦点距離16㎜ オート ISO200 露出補正0 そしてこちらは横から。 群生している様子や見えている全体像を広角で撮影する時は、 主役をどれくらい入れるか、構図をどうするかが大きなポイントになります。 見た目そのままではあまりインパクトがなく単なる記録写真のようになってしまうので ある程度考えて撮影することが大切です。 野草の写真は見たまま感じたまま素直に撮るといいといつも言っていますが、 広角レンズだけは少し考えた方がいいかなと思っています。 前の写真ではキャベツとコハコベの両方が主役ですが この写真の主役はコハコベです。 したがって主役を引き立てるために画面の2/3をコハコベに占めてもらいました。 そして一番手前には密生するコハコベの様子がよくわかる場面を持ってきています。 もう少し近づいて撮影した方が良かったかなと思いますが まあこれくらいでもいいかなという気もします。 構図的には斜めに切り取ることによって動きや奥行き感が生まれてきます。 真横から撮影して水平に分割してしまうと面白みのない写真になるような気がします。 但しその場合は後の背景を入れて風景写真のように撮ると また違った写真になります。 それだけいろんな撮り方があるということですね。 一番大切なのは何を撮って見せたいかということに尽きます。 撮影地 高浜市 2017/02/22撮影 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8 f5.6 絞り優先モード オート ISO200 露出補正-0.3 最後はコハコベの花を正面からマクロレンズで普通に撮影しただけの写真ですが 何がポイントかわかりますか? これはピンクの葯なんですね。 実はピンクの葯が残っているものはほとんどないんです。 花が開くころには落ちてしまって花粉を出しているものばかりなんですね。 あれだけ群生している中で見つけたのはたったの3つ。 だから貴重なんです。 しかもこの葯があるだけで愛らしさが倍増しますね。 という訳でこれは写真の良し悪しを見せるものではなく 植物の生態系の面白さを写した一枚ということになります。 植物写真はその植物の特徴や個性、生きる環境など様々な観点から撮影してみると 幅広く面白い写真になると思っています。 コハコベ一つとってもいろんな側面があって興味津々ですね。 撮影シリーズに関して何かコメントを頂けると嬉しく思います。 深谷 |