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オカトラノオを撮る 写真 深谷利彦 Toshihiko Fukaya
オカトラノオ/サクラソウ科 

 思いがけない場所でオカトラノオの花に出会いました。しかも咲き始めて間もない初々しくてとても美しいオカトラノオです。咲いていたのはこの塊りだけだったので腰を据えて撮影してみました。天気は雨上がりの薄曇りです。カメラはNikonD801とCanon5DⅡの2台を持っていましたので、その両方で撮影してみました。今回は画面の中に花をどのように入れるかということとカメラやレンズによる違いを説明してみたいと思います。
 毎回コメントしていますが、これはあくまでも私の思いや感想を綴ったものですので、これが正しいというものではありません。野草を撮影される時の参考やヒントになれば嬉しく思いますが、一番いいのは自分の感性で撮ることだと思っています。



撮影地 豊田市 2015/06/03撮影 Canon5DⅡ CanonEF70-200㎜ F4 f5.6 WB オート 絞り優先モード ISO200 焦点距離200㎜ 露出補正-1.0

初めの写真はCanon5DⅡで撮影したものです。レンズは70-200㎜のズームレンズで焦点距離200㎜で撮影しています。
なぜ200㎜で撮影したかと言えばボケ味を出したかったからです。
花が浮かび上がり背景が柔らかくボケてくれるのを狙って撮影しました。
200㎜で撮影して最大のボケを出すなら開放値のf4で撮影すればいいのですが、この画角からですと
f4ではボケ過ぎて後の花がはっきりしなくなります。
そんな訳でf5.6で撮影しました。
私の場合、花の撮影はf5.6で撮影することが圧倒的に多いようです。
本当は180㎜とか200㎜のマクロレンズが一番いいのですが、
残念ながら持ち合わせていません。
それからもう一つ、50㎜や100㎜のマクロレンズではだめだったのかと言うことですが、
もちろんこのオカトラノオを美しく撮影することはできます。
ただこの場面の私のイメージからすると200㎜が最も相応しいと感じました。
ちなみに下に90㎜マクロレンズで撮影した写真がありますが(カメラはNikon)、
同じような画角で撮影してあってもボケの柔らかさに違いがあります。
私の好みはやはり上の写真になります。

ただしこれは撮影する被写体がオカトラノオであったからで、花が違えばまた違った選択が生まれてきます。
ちなみに小さな花では200㎜で撮影することはほとんどありません。
50㎜マクロを使うことが多く状況に応じて90㎜マクロを使用します。

次は画面の中にオカトラノオをどのように配置するかということですが、
この場合、後にもオカトラノオが咲いています。
そして右には蕾の状態の花もあります。
さらに左奥にも咲いています。
まず一番魅力的な花にピントを合わせ後にも咲いていることがわかる位置にカメラを向けます。
この時後ろの花の高さは手前の花の位置と同じにならない方がいいでしょう。
上に上げるか下に下げるかどちらかがいいと思います。
同じ高さだと奥行き感や動きが少なくなります。
そして右に蕾の花をさりげなく入れ、左奥にもぼかした花を入れます。
こうすると奥行きが広がり臨場感も増してきます。
全体のバランスを考えながら配置します。
とまあ、解説していますが実際には見た瞬間に構図は決まります。
理屈をつけて考え出すと大抵失敗します。
説明を読むと考えて撮影しているように思われるかもしれませんが、
この説明は写真を見ながらのもので、実際にはあまり考えていません。
感じたままに向き合うというのが私のモットーですので。



撮影地 豊田市 2015/06/03撮影 NikonD810 Tamron SP90㎜マクロ F2.8 f5.6 WB オート 絞り優先モード ISO200  露出補正-0.7

こちらが90㎜マクロで撮影した写真です。
同じような構図で撮影しましたが、90㎜マクロならではのシャープな写りは上の写真より優っていると思います。
ただしボケが同じように見えても、こちらの方が固いですね。
これだけを見れば特に問題ないようにも思えますが、比べてみるとわかります。
それからカメラやレンズによる発色の違いがあります。
1枚目のCanonと2枚目のNikonでは花の色合いも葉の色にも違いがあります。
どちらがいいかは好みの問題になるので何とも言えませんが、
カメラやレンズの特性を知っておくと使い分けをすることも可能となります。
ちなみに私の印象ではCanonの方が緑の色が自然にでるような気がします。
Nikonはやや青味が強い傾向で少し派手な傾向があります。
この辺のところもWB(ホワイトバランス)を変えたり、設定をいろいろ変更してみると色合いが変わるので
試してみるといいでしょう。


深谷

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