入笠湿原でチダケサシを撮る 望遠レンズ編 写真 深谷利彦 Toshihiko Fukaya
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チダケサシ/ユキノシタ科
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撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離150㎜ 露出補正 -1/3
朝陽に浮かび上がるチダケサシにトンボが止まっています。 よく見かける光景ですがその状況をくっきりと写し出すのは意外と難しいものです。 くっきりと浮き出させるためには背景をすっきりさせる必要があります。 こんな時望遠レンズは被写体を大きく写してくれるだけでなく背景をぼかしてくれるのでいいですね。 この写真では私はチダケサシの花の様子を見せたいので花茎が見えるところまで入れてありますが トンボの表情を見せたければもっとズームアップした写真を撮ることができます。 要は自分が何を見せたいかということなので、その時々の状況に応じて判断します。 もう少し細かいところの説明をすると チダケサシは画面の中央には持ってこないこと。 左向きに止まったトンボなのでトンボの頭の先の空間(左側)が尾の先の空間(右側)より狭くならないこと。 トンボの頭の先が狭くなると窮屈な感じになります(私の印象です)。 ボケた黄色いハンゴンソウは意識的に入れてあります。 また背後のブルーのボケと白いボケが二分されないようにしています。 撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離93㎜ 露出補正 0
霧の中に佇むチダケサシ。 少しおとなしい写真ですが、霧の中での撮影はメリハリの少ない写真になります。 主役をはっきりさせることと背景の様子もそれとなく分かるように画面構成するといいですね。 これも望遠レンズの特性を生かした写真と言えます。 撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離165㎜ 露出補正 -1/3 なんとなく上の写真とよく似ていますね。 そう同じ被写体を霧が晴れた後に撮影したものです。 微妙に撮影位置が違うのでチダケサシの並びが違いますが 随分印象の違う写真になりますね。 植物写真はどんなに綺麗な花が咲いていたとしても 時間帯や光線によって全く違う写真になります。 同じ場所にずっといられるのならその違いを観察できますが 大抵はその場限りの一期一会。 だからこそ出会いを大切にしたいといつも思っています。 撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離85㎜ 露出補正 -1/3 これは霧が晴れつつある時間帯でまだ湿原には陽が当たっていない状況で撮影したもの。 そんな状況が分ればと思って撮影しました。 花の色が少し青みがかっていますが、これがこの光線での色合いになります。 背後にまだ少し霧が残る様子や山の上には陽が当たり出した様子を見てもらえると嬉しいです。 広角レンズでは絞り込んで撮影するとストレートにその場の状況を見せることができますが 望遠レンズでは雰囲気が重視されて 見るものに想像させる写真になります。 そんなところを使い分けられるといいですね。 撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離70㎜ 露出補正 0 望遠レンズでは被写体を大きく浮き出たせることが特徴ですが 画面を圧縮させる効果もあります。 花が群生している時、その一部だけに焦点を合わせて前後をぼかす写真はよく見かけますね。 この写真も圧縮効果を狙った写真ですが 群生しているからこそこんな撮り方をしてみたくなります。 少しピンク色がかったチダケサシが咲いていたので、そこにピントを合わせて 前後をぼかしてみました。 もう少しくっきりと写せると良かったのですが 霧が残る中での撮影なのでこんなものなのでしょう。 逆に言えば霧が残っていたからこそ背景の舫った様子が雰囲気を作り出しているとも言えます。 撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離116㎜ 露出補正 -1/3 チダケサシが群生する中、合間にコバギボウシとクサレダマが咲いていました。 主役はチダケサシなので手前の花にピントを合わせて背後はぼかしてあります。 コバギボウシとクサレダマがいい脇役になってくれています。 望遠で霧の中に咲く花をいろいろ撮影してみましたが 200㎜で引っ張った写真はどれもぼやっとして主役が引き立たない写真ばかりでした。 霧が深い時はあまり望遠側では撮らない方がいいようです。 モニターで見ている時はいい感じに思えても、実際にはシャープさに欠けるボツ写真ばかりでした。 画面の中に一つでもシャープに写る場面があれば面白い写真になるはずですが 深い霧の中では難しいようです。 私なりの発見です。 撮影地 入笠湿原 2019/08/10撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4 f5.6 絞り優先モード オート ISO400 焦点距離70㎜ 露出補正 0 最期は霧が晴れながら湿原に陽が差し込んできた時の様子を切り取ったものです。 陽が当たったところと当たらないところの陰影が面白いと思って撮影しました。 狙い通りの写真ですが陰影のコントラストのバランスは難しいものです。 白飛びしすぎないよう、暗くなりすぎないようバランスよく撮影したいものです。 この写真で気に入っているのは光が差し込んできた時の角度が見えることでしょうか。 広角レンズでも見せられなくもないのですが 狭い範囲に差し込んだ光を描写するにはやはり望遠レンズかなと思います。 「入笠湿原のチダケサシを撮る」として広角レンズ編と望遠レンズ編を作成しましたが いかがでしたでしょうか? 深谷 |