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花の終わりのヤナギランを撮る 写真 深谷利彦 Toshihiko Fukaya
ヤナギラン/アカバナ科 

  ヤナギランは夏の花。高原を彩るヤナギランは風を感じる爽やかな花ですが、最近はどこも少なくなってしまいました。その訳は鹿の食害。若い芽を食べられてしまうとあっという間に消えてしまいます。ネットなどで保護されたところはいくらか復活していますが、以前のように草原が紅紫色で染まる光景はもう見られないのかもしれません。
  さてそのヤナギランも花が終盤になると、なんとなくみすぼらしくなってカメラを向けることが少なくなりますが、そんなヤナギランでも観察していると、生き生きとした表情が見えてくる場面があります。
  敢えて撮影シリーズとして取り上げたのは、花の移り変わりの中に美しく輝く瞬間もあるし、実になっていく過程の中に生きざまも見えてきます。植物写真は花の盛りだけが目的ではなく、移り変わる姿も写真として面白いことをお伝えできればと思って取り上げました。




撮影地 霧ヶ峰 2018/08/20撮影 NikonD810 NIKKOR VR16-35㎜ F4
ヤナギランは下から花が咲き、順に上に昇っていきます。
残った花は少ないのですがそこが面白いですね。
花が落ちたところから実になって、やがて弾けて白い綿毛を出します。




撮影地 霧ヶ峰 2018/08/20撮影 NikonD810 NIKKOR VR16-35㎜ F4
こちらは少し引いて天に向かって花を咲かせた様子を
しゃがみこんで下から撮影しています。
青空があることが秋口の空気感を伝えられたのではと思います。




撮影地 入笠湿原 2018/08/22撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4
これも花の終盤のヤナギランですが
背景の湿原の草が枯れ始めている色によって秋めく季節感が感じられるのではと
思って撮影しました。




撮影地 入笠湿原 2018/08/22撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4
倒れたヤナギランが頭を持ち上げて咲き続けている姿です。




撮影地 入笠湿原 2018/08/22撮影 Canon5DⅡ Canon EF70-200㎜ F4
実が弾けて綿毛が飛び出している姿です。
野草は花の盛りだけでなく実にも味わいを感じています。


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