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この写真は北岳の山頂近くからの撮影である。朝6時頃の撮影だと思う。北岳肩ノ小屋前でテントを張って翌朝、山頂を目指していた途中に撮影したものだ。朝からずっと見えていた富士に気分よく登っていた時にこの場面に出会った。急斜面に咲くタカネシオガマとイワオウギのお花畑。よく見るとシコタンソウも咲いている。何よりも遠望している富士の姿が良かった。富士を背景に険しい場所に咲く北岳の高山植物を撮影するのに絶好のロケーションだと思った。
高山植物との出会いは一期一会。その時に見える風景も一期一会。全てがその時限りのとっておきの時間。晴れていても曇っていても雨が降っていても強風が吹き荒れていても、出会いは一期一会。同じ状況は二度と巡ってこない貴重な出会いなのである。この時富士が見えていなければ、また違った印象を持ってこの場面を切り取ったことだろうと思う。気持ちもその時々で変化する。それが山登りの楽しみでもあり、高山植物との出会いの楽しみでもある。
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