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私が初めて北岳に登ったのは今から25年以上前のことになる。大樺沢二股付近から雨が降り始め、途中から土砂降りとなった。山を始めて間もない頃で、装備も貧弱だった為かザックの中の荷物や着替えもびしょ濡れとなってしまった。疲労困憊しながら北岳肩ノ小屋に着いてストーブで濡れた衣服を乾かすのに大変だった思い出がある。当然ながら花の写真どころではなった。翌日も天候が悪かったため山頂に登ることなく下山をした。苦い思い出である。
そして翌週再び北岳に登った。リベンジ登山だった。今度は天候に恵まれ可憐な高山植物を堪能できる素晴らしい登山となった。それ以来数えきれないほど北岳に登ってきたが苦い思い出は最初きりである。今はいつ登っても天気も花も私の味方をしてくれるようになった。
初めて登った時に印象的だったのがシナノキンバイのお花畑だった。写真を撮る余裕もなく群生する様子を眺めるだけだった。その時の記憶が鮮明な為か、北岳に登るとシナノキンバイのお花畑が気にかかるようになった。写真は思い出の場所ではない。残念ながら今は当時のような広大なお花畑が消滅してしまった。原因は鹿の食害である。いつまでも咲き続けてほしいと思うが保護対策を講じないと高山植物も危機的なところまできていることを知らなければならない。
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