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高山植物の咲く風景 写真 深谷利彦 Toshihiko Fukaya
ウルップソウ Lagotis glaucaウルップソウ科 撮影地 白馬岳 2008/07/08撮影 NikonD300 SIGMA17-70㎜

  ウルップソウの花を初めて見たのは山登りを始めて間もない頃だった。当時は高山植物の知識も乏しく、ウルップソウが貴重な高山植物であることを知らなかった。初めて登った白馬岳で少し間延びしたウルップソウの花をあちこちで見たが、そんなにきれいな花だとは思わなかった。いくらでも生えていたが花の終盤だったことが、そんな印象を持つことになったのだろう。帰宅後、図鑑を捲っていて初めて貴重な高山植物であることを知った。本州では八ヶ岳の限られた場所と白馬岳にしか咲かないことが不思議でならなかった。それ以来ウルップソウの花は憧れの高山植物となって何度となく白馬岳に足を運んだ。八ヶ岳にも登って最盛期のウルップソウも見てきた。それでもまだ十分に観察したという思いがない。なぜだろう?
 ウルップソウの花期は早い。白馬岳では6月下旬から咲き出し7月上旬でピークを迎える。もちろん雪解けの遅い個所では8月中旬頃まで花が見られるが、群生する場所では7月上旬が最も美しい時期である。梅雨時ということもあって花のピーク時に天候と休日のタイミングが合うのはなかなか難しい。そんなこともあってか、これぞベストという場面にまだ出会えていない。理想を求めているという訳ではないが、咲く場所をよく知っているだけにもっともっと見たいという衝動が消えないのかもしれない。
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