魅惑の高山植物
写真 深谷利彦
Toshihiko Fukay
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雲ノ平を巡る花旅から トウヤクリンドウ/
リンドウ科
撮影地 黒部五郎岳
2016/8/4撮影
撮影地 黒部五郎岳 2016/08/04 NikonD810 NIKKOR VR16-35㎜ F4
トウヤクリンドウが咲き出すと、いよいよ夏の花も終わって秋も近いなと思うが、実際のところ秋を感じるのはもう少し先のこと。まだ真夏の太陽はギラギラと眩しく、立ち上がる入道雲からは秋の兆しは感じられない。お盆も過ぎ山が静かな時を迎え、筋雲などを見かけるようになる頃にようやく秋の予感を実感できるようになる。その頃には朝晩もぐっと冷え込むようになり、テントの中ではダウンジャケットがありがたく感じられるようになる。
稜線の花がすっかり姿を消し、トウヤクリンドウやトリカブトの仲間などの花が静かに咲いている姿を眺めた時、秋の到来が近いことを強く感じはじめる。そんな時期に山に入ることは少ないが、最近は夏から秋に移行する時期に興味が出てきた。花の盛りもなく、秋の装いもないその時期に関心がいくのは歳をとったのかなと思うが、移ろう季節のドラマは盛夏や錦秋の頃とは違った良さがあるからだ。
撮影地 黒部五郎岳 2016/08/04 NikonD810 NIKKOR VR16-35㎜ F4