普段あまり魅力的に感じない高山植物でも、輝いて美しく見える時がある。それは意識的にそのタイミングを計って観察しているのではなく、たまたまそんな時に遭遇したという偶然に過ぎない。タカネスイバは平地に生えるスイバを小さくした印象で美しいと思える場面にはあまり遭遇しない。それは平地のスイバも同じで、しいて言えば咲き始めの頃に美しさを感じて撮影することがある程度だ。
今回撮影したこのタカネスイバは咲き始めの初々しいもの。まだ大きく立ち上がっていなくて、開いたばかりの雌花のピンク色が絶妙な美しさだった。だから接写をしてその美しさを写しとめようと試みた。いまこの写真を見ると実際に見る美しさ以上の美しさかもしれないと思えてきた。これがマクロレンズの魔術。
タカネスイバは地味な高山植物。でもこんな風にして美しく輝く瞬間がある。それはどんな野草にも言えること。
輝く瞬間に会えるかどうかは運次第だが、地味な植物にも関心を示すかどうかが会えるかどうかの分かれ道。常にどんな植物にも平等な視線を送り続けていると輝く瞬間を見せてもらえるチャンスがやってくる。
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