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魅惑の高山植物 写真 深谷利彦 Toshihiko Fukaya
クモマナズナ/アブラナ科 撮影地 八ヶ岳・北岳 2016/06/20・07/04撮影


撮影地 八ヶ岳 2016/06/20 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8

  高山植物の紹介をするにあたって、まずはよく知られた華やかな花から紹介するのが常となっているが、咲いている花の種類からすれば華やかな花より地味な花の方が圧倒的に多い。よく知られていて誰もが目に留める花は山の景観ともマッチし壮大な風景となって記憶に深く刻まれる。私も山に登って印象に残る風景は、そういった華やかな高山植物たちが咲き誇る風景に他ならない。
 それでも花に興味を持って山歩きをするようになると、ひっそりと咲く花や目立たない小さな花にも関心が行き、いつしかそんな花に深い共感を持つようになる。登山者のほとんどが関心を示さない花だからという同情心ではなく、心から美しいと思えるようになってくる。それは美しく見ようとしているのではなく、関心を持って観察をしていると、どの花も個性があって美しく輝いていることに気づくと言ったらいいだろうか。つまりその植物と対峙して対話をするようになると魅力が大きく大きく膨らんでいく。
 クモマナズナは亜高山帯から高山帯の稜線付近の岩場に生えているが、小さな白い花の塊なのであまりインパクトがない。それにアブラナ科の花はよく似たものが多く、よくわからないから見てみぬふりをしてしまうということもあるかもしれない。私も始めはそうだった。華やかな高山植物を前景に背後に山の入る写真が撮れればそれだけで満足していた時期がある。ところが積極的に小さな花や目立たない花にも関わるようにしてくると、山に登る楽しさがさらに深まってくる。
 今回は八ヶ岳で見たものと北岳で見たものを紹介。クモマナズナの花の色は白ということになっているが、北岳に咲いていたものは淡いクリーム色をしていた。


撮影地 八ヶ岳 2016/06/20 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8




撮影地 八ヶ岳 2016/06/20 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8
葉には深い鋸歯がある





撮影地 北岳 2016/07/04 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8




撮影地 北岳 2016/07/04 NikonD810 SIGMA 50㎜マクロ F2.8

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